※個人特定を避けるため、一部表現をぼかしております。
ご相談のきっかけ
「主人から渡された遺言書を自分が開けてしまったら無効になるのですか?」
これがK様の最初の質問でした。ご主人が自筆で書かれた日付・署名・押印入りの遺言書。内容を確認してホッとしたものの、長女の一言で一気に不安に…。そこで近くの当事務所に駆け込まれました。
担当行政書士のコメント
民法では、自筆証書遺言に封をしておく義務はありません。ですから、たとえ開けてしまっても、それだけで無効になることはないんです。まずはその点をしっかりお伝えし、K様の不安をひとつずつ取り除きました。もちろん、家庭裁判所での「検認」は必ず必要ですし、もし封がしてあった場合に家庭裁判所以外で開けると、過料(5万円以下)の対象になる可能性がありますので、その点も正直にお話しました。
あわせて、よく混同される秘密証書遺言との違いもご説明しました。秘密証書遺言は、必ず封をして封印し、公証役場で手続きを行う方式で、封印そのものが形式要件になります。もし勝手に開封してしまうと、その時点で形式を欠き、無効になる恐れが高いんです。一方で、自筆証書遺言には封の要件はなく、開封しても効力は失われません。この違いを知っていただくだけでも、安心感はぐっと高まります。
今回の遺言書は形式要件をきちんと満たしており、有効の可能性は高いと判断しました。そこで、K様とご家族がご本人の名義で安心して家庭裁判所に申立てできるように、必要な書類作成や添付書類の準備を、寄り添う気持ちでお手伝いしました。
具体的には、
- ご本人名義で提出できるよう、検認申立書の作成をサポート
- 面倒な戸籍・住民票などの必要書類は当事務所で収集代行
- 申立て当日の流れや持ち物を、わかりやすく説明
- 検認後に進める相続手続きの順序や注意点をご提案
「法律的に間違いのないサポート」と「気持ちに寄り添う安心感」、この2つを両立させることを意識して、最後まで伴走しました。
お客様メッセージ
「遺言書を開けてしまったことがそんなにいけないことなのかと、不安でたまりませんでした。でも先生が『無効にはなりませんよ』と法律に基づいて丁寧に説明してくれたので、すごく安心しました。秘密証書遺言との違いも分かって、これからは家族や友人にも正しい知識を伝えられそうです。申立書も必要書類も揃えてもらえたので、家族だけで家庭裁判所に行く自信がつきました。これで主人の遺志をちゃんと形にできると思います。本当にありがとうございました。」